お疲れ様です!
インフラ業界総合職で現在入社5年目のゆうゆうと申します!
- ガス業界と電力業界の違いが分からない
- 東京ガスと大阪ガスの差別化が難しい
大丈夫です!今回の記事を読んでいただければ、ガス業界の就職活動を進めていくために必要な知識を手に入れることができます。
今回説明する内容は以下の2つです!
- ガス業界とは
- 大手2社の特徴・今後の動向
また、今回の記事では以下のような読者を想定しています!
- ガス業界志望の就活生
- ガス業界への転職希望者
- ガス業界への投資を考えてる人
それでは説明していきます。
ガス業界とは
ガス業界の全体像
ガス業界は都市ガスとLPガス(液化石油ガス)を取り扱う企業が主体で、生活や産業用の燃料や熱源を供給し、人々の暮らしを支える重要なインフラ産業です。都市ガスは主に都市部で供給される天然ガスを指し、LPガスはプロパンやブタンなどの液化石油ガスを指します。
ガス業界には、東京ガスや大阪ガスなど、地域によって多様な企業が存在します。これらの企業は、ガスの供給や販売、設備工事やメンテナンス、省エネ技術の開発など、幅広いサービスを提供しています。また、ガス小売自由化に伴い、顧客シェアの獲得競争が激化し、他業界からの参入も増えています。
2017年から全面的に始まったガス小売自由化は、市場の競争を促進し、ガス料金の最大限抑止に繋がりました。ガス小売自由化は、独占を禁じ、消費者に選択肢を与えることを目的としており、業界全体の競争力強化や国際展開が期待されています。
- 東京ガス
- 大阪ガス
- 北海道ガス
- 北陸ガス
- 東邦ガス
- K&Oエナジーグループ
- 京葉瓦斯
- 静岡ガス
- サーラエナジー
- 広島ガス
- 西武ガスHD
各企業の営業成績などについては「インフラ業界優良ランキング記事」でも詳しく解説しています。
ガス業界の動向
また、ガス業界はエネルギー政策の変化にも大きく影響を受けています。近年、地球温暖化対策や環境問題への関心が高まる中で、再生可能エネルギーへの転換が求められています。このため、ガス業界も低炭素化や省エネルギーに取り組むことが求められており、エネルギー供給のあり方に大きな変革が求められています。
具体的には、天然ガスを含むバイオガスや水素エネルギーなどの新たなエネルギー源の導入が進められています。また、省エネルギー技術の開発やスマートグリッドの導入など、エネルギーインフラの改善が急務とされています。
スマートグリッドとは、電力供給網を情報通信技術を用いて最適化し、効率的かつ持続可能な電力システムを実現するための技術です。スマートグリッドは、送電網や配電網の監視、制御、保護、および自動化機能を強化し、電力需要と供給をリアルタイムで調整することができます。
スマートグリッドの主な特徴は以下の通りです。
- 電力網全体の効率向上: スマートグリッドは、電力網全体の効率を向上させ、電力損失を最小限に抑えることができます。
- デマンドサイドマネジメント: 消費者の電力需要をリアルタイムで把握し、ピーク時の負荷を削減することができます。
- 再生可能エネルギーの統合: 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー源を網に効率的に統合し、持続可能な電力供給を促進します。
- 自己修復機能: 障害が発生した場合、スマートグリッドは自動的に問題を検出・特定し、修復作業を行うことができます。
- 電力使用の可視化: スマートメーターを用いて、消費者は自分の電力使用状況をリアルタイムで確認し、電力消費の最適化を図ることができます。
これらのエネルギー政策の変化を受け、ガス業界の企業は研究開発や技術革新に力を入れ、新たなビジネスモデルの構築にも取り組んでいます。このため、ガス業界で働く人々は、環境問題やエネルギー政策に関心を持ち、技術革新や新しいビジネスモデルを創出できる柔軟な発想が求められるようになっています。
東京ガスとは
- 売上高:1兆7,651億円
- 営業利益:776億円
- 従業員数:16,832人
- ガス販売量:129.9億m3
東京ガスは、東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬、茨城、山梨の首都圏を拠点に、ガス業界全体のガス販売量(366億m3)の約35%のシェアを持つ最大のガス企業です。
同社は、都市ガスを中心としたエネルギー供給事業だけでなく、新エネルギー事業や海外展開も積極的に行っています。
以下の表は東京ガスの2020年度決算書セグメント別指標です。
2020年度売上高 | |
セグメント合計 | 17,651億円 |
ガス合計 | 11,467億円 |
都市ガス | 9,677億円 |
LNG販売 | 1,394億円 |
売上高の約65%が「ガス分野」の売り上げであることがわかりますね!
つまり、日本のガスの3分の1を支えてます。
そんなガス分野においては約90%が「都市ガス」の売り上げであることがさらにわかりますね。
東京ガスの特徴: 環境への取り組みと技術革新
東京ガスは、2019年11月に公表した経営ビジョン「Compass2030」において、「CO2ネット・ゼロへの移行をリード」をはじめとする3つの挑戦を掲げました。また、2021年11月に公表されたアクションプラン「Compass Action」では、具体的な施策が示されています。これらの取り組みにより、東京ガスは環境への影響を最小限に抑えつつ、持続可能な社会を実現するためのエネルギー供給を目指しています。
まず、CO2ネット・ゼロとは、排出される二酸化炭素量と、吸収・除去される二酸化炭素量が等しくなる状態を指します。これを実現するために、東京ガスは天然ガスと再生可能エネルギーの普及拡大に注力しています。具体的には、他の化石燃料から天然ガスへの燃料転換、太陽光や風力などの再エネ電源の拡大、天然ガスコジェネや再エネ・蓄電池を組み合わせたスマートエネルギーネットワークの高度化などが挙げられます。
また、メタネーションという技術を活用し、将来的には天然ガスを脱炭素化された合成メタンに置き換えることを目指しています。メタネーションとは、再エネ電力等から製造した水素とCO2からメタンを合成する技術のことです。これには革新的イノベーションが必要であり、積極的な技術開発が進められています。
さらに、浮体式洋上風力という先進的な技術の開発と実用化にも取り組んでいます。浮体式洋上風力は、浮体(フローター)に風力発電機を設置し、日本の海洋環境に適した洋上風力発電システムを構築するものです。
この浮体式洋上風力技術は、従来の固定式洋上風力発電と比較して、より深い海域や複雑な海底地形に対応できることが特徴です。また、陸上風力発電に比べて風が強く安定している海上での発電により、高い効率と安定したエネルギー供給が期待されます。
東京ガスは、環境に配慮した技術開発により、供給サイドと需要サイドの両方からCO2ネット・ゼロに向けた「責任あるトランジション」を推進しています。そのために、既存技術の最大限の活用と将来に向けた新技術開発を同時に進めることが重要だと考えています。
東京ガスの特徴:コロナ禍
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が世界的に深刻化する中、東京ガスの業績にも大きな変化が現れました。特に、コロナ前と比較して注目すべき2つのポイントがあります:JPEX価格の高騰と巣ごもり需要の増加です。
JPEX価格の高騰
まず、JPEX価格の高騰が東京ガスの利益に大きな影響を与えました。JPEX(Japan Electric Power Exchange)とは、日本卸電力取引所のことで、電力小売自由化に伴い設立された電力市場です。JPEX価格の高騰は主に以下の2つの要因によって引き起こされました:
- 発電所トラブルによる供給力減少
- 急な気温変化による需要の増加
2020年度には、関西電力の火力発電所のトラブルやLNGの在庫規制が原因でJPEX価格が高騰し、東京ガスの経営に悪影響を与えました。
巣ごもり需要の増加
一方で、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要が都市ガス粗利にプラスの影響をもたらしました。自宅で過ごす時間が増えたことで、家庭内のエネルギー消費が増加し、東京ガスの収益も大きく増えました。
しかしながら、全体を見ると、JPEX価格高騰による損失が大きく、巣ごもり需要による利益だけでは相殺できない状況が続きました。これらの要因を考慮すると、コロナ禍の東京ガスは、JPEX価格の高騰という厳しい経営環境下で、巣ごもり需要による収益増を追求し、さらなる業績回復への取り組みが求められていると言えます。
東京ガスの今後の動向: エネルギー多様化と持続可能性の追求
東京ガスは、グループ経営理念である「人によりそい、社会をささえ、未来をつむぐエネルギーになる。」を掲げ、天然ガスだけでなく、さまざまなエネルギーを提供し、持続的に発展する将来への原動力となることを目指しています。
そのために、以下のような取り組みが盛り込まれています。
- 再生可能エネルギー電源の導入拡大
- 天然ガスの有効利用拡大
- カーボンニュートラルなエネルギーの普及促進
- 水素製造コストの低減
- CO₂のマネジメント技術開発
特に、カーボンニュートラルは、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目度が高い分野であり、企業の環境対策として重要な位置付けがされています。
東京ガスは、これらの取り組みを通じて、お客さまや社会に貢献し、持続可能で豊かな暮らし・地域・地球を実現するために、革新的な技術開発とサービスの提供に努めています。
また、東京ガスは地域社会との連携を重視し、エネルギーマネジメントシステムの開発や、エネルギー効率向上のためのコンサルティング事業なども展開しています。これにより、お客さまにエネルギーの最適な利用方法を提案し、CO2排出量の削減や電力消費の抑制に寄与しています。
さらに、東京ガスは、デジタルイノベーションを活用し、顧客とのコミュニケーションの向上や、より効率的なエネルギー供給を実現しています。例えば、スマートメーターのデータ分析やAIを活用した顧客サポート、IoT技術を用いたエネルギー管理システムなどが挙げられます。
特にカーボンニュートラルはSDGsの観点からも非常に注目度の高い分野です。
ぜひガス業界を受ける前に一緒に勉強しましょう。
SDGsについては「SDGsについての面接対策記事」、カーボンニュートラルについては「カーボンニュートラルについての面接対策記事」でも詳しく解説しています。
大阪ガスとは
- 売上高:1兆3,641億円
- 営業利益:1,124億円
- 従業員数:20,941人
- ガス販売量:71.5億m3
大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山を拠点とするガス企業「大阪ガス」。
ガス業界全体のガス販売量(366億m3)のうち約20%のシェアを持っています。
つまり、東京ガスと大阪ガスの合計でガス業界全体の半分以上の販売量を占めている計算になりますね。
大阪ガスの特徴
大阪ガスの特徴として「海外企業との積極的な提携」があります。
2020年度 | 2019年度 | |
経常利益 | 1,277億円 | 860億円 |
大阪ガスは海外企業との積極的な提携が特徴で、2020年度の経常利益1,277億円は前年度(2019年度)の860億円と比較して大幅に増加しています。この増益の要因は、フリーポートLNGプロジェクトとサビン・シェールガスプロジェクトの成功です。
フリーポートLNGプロジェクト
フリーポートLNGプロジェクトは、アメリカのLNG(液化天然ガス)市場から調達した天然ガスを輸出用に液化加工するプロジェクトで、フリーポート社がオペレーティングしています。
LNGとは、天然ガスを液体化させたもので、輸送や貯蔵が容易になるという利点があります。
サビン・シェールガスプロジェクト
サビン・シェールガスプロジェクトは大阪ガスのアメリカ・テキサス州でのシェールガス開発事業のことです。
シェールガスは、地下の頁岩(シェール)から採取される天然ガスの一種で、大阪ガスは2019年に日本企業として初めてアメリカのシェールガス会社を買収しました。
このサビン社の買収により大阪ガスは年間170万トンのLNGを生産できる鉱区を手に入れることができました。
大阪ガス今後の動向
大阪ガスの中期経営計画2023では、以下の6つの重点取り組みが掲げられています。
- 低・脱炭素社会の実現
- NEWノーマルに対応した暮らしとビジネスの実現
- お客様と社会のレジリエンス向上
- 事業ポートフォリオ経営の進化
- デジタルトランスフォーメーションによる事業変革
- 従業員一人ひとりの価値の最大化
低・脱炭素社会の実現
大阪ガスは「低・脱炭素社会の実現」を目指し、積極的な取り組みを行っています。その一つが、株式会社INPEXと共同で行うメタネーションシステムの実用化です。この実験では、INPEX長岡鉱場から回収した二酸化炭素(CO2)を用いて合成メタン(天然ガスの主成分)を製造します。
現在開発中のCO2-メタネーション設備は、世界最大規模の製造能力を持っています。今後は、海外で商用規模の実証事業を行い、商用化を目指して取り組んでいく予定です。
また、高効率化されたSOECメタネーションがグリーンイノベーション基金事業に採択され、250億円規模の国家プロジェクトとして進められます。これにより、再生可能エネルギーの普及貢献量は、3月末時点で140万kWに達しています。
NEWノーマルに対応した暮らしとビジネスの実現
中期経営計画の取り組みの中で、「NEWノーマルに対応した暮らしとビジネスの実現」が特に注目されます。この中で、「海外エネルギー事業」が大阪ガスの強みとなっています。
大阪ガス海外エネルギー事業の取り組みは以下の3つです。
- 天然ガスの普及拡大
- 再生可能エネルギー事業拡大
- 北米事業推進体制の強化
インフラ企業は安定志向が一般的ですが、大阪ガスは積極的な投資による事業拡大を重視しています。現在、海外投資が成功していることから、経営陣の戦略的な視野の広さが伺えます。
低・脱炭素社会の実現を目指して、大阪ガスは環境負荷の低いエネルギーへのシフトを進めています。また、お客様と社会のレジリエンス向上を目指し、安全で安定したエネルギー供給を提供しています。
まとめ
ガス業界は、私たちの生活に欠かせないエネルギーを供給する重要な産業です。業界全体のガス販売量は366億m3で、そのうち約半分は東京ガスと大阪ガスが占めています。これらの企業は日本のエネルギー供給の大黒柱として、さまざまな取り組みを進めています。
東京ガスは、再生可能エネルギーや水素エネルギーの普及を目指し、太陽光発電や風力発電などのプロジェクトを展開しています。また、顧客満足度を高めるため、デジタル化を推進し、省エネルギー・省コストを実現しています。
一方、大阪ガスは、海外企業との積極的な提携を通じて事業拡大を目指しており、フリーポートLNGプロジェクトやサビン・シェールガスプロジェクトなどの海外エネルギー事業を推進しています。さらに、低・脱炭素社会の実現に向けた取り組みや、デジタルトランスフォーメーションを活用した新しいサービス開発など、多岐にわたる活動を行っています。
これからのガス業界は、エネルギー供給の安定や環境問題への対応が求められる中、東京ガス・大阪ガスをはじめとする企業が、技術革新やサービス改善に取り組むことが重要です。また、グローバル化が進む中で、海外市場への参入や国際連携も今後の業界動向を左右する要素となります。
就活生にとって、ガス業界は安定した収益基盤を持ちながらも、環境問題への対応や新たなビジネスモデルの開発など、チャレンジングな事業展開が魅力的な分野です。東京ガス・大阪ガスは、社会的な責任を果たしながら、新たな価値創造に努めている企業として、就職先としての魅力を持っています。
今回の記事を読んで少しでも就活の手助けができたら幸いです。
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